子どもケミネット

設立の趣旨

 今、ぜん息・アレルギーの増加、発達障害児の増加、不妊・不育症の増加など、子どもたちの発達・健康は重大な危機に直面しています。これらの原因として、体内のホルモンや神経伝達物質による情報伝達をかく乱する人工の有害化学物質(環境ホルモン等)の関与が1996年のコルボーンら著『奪われし未来』の出版によって指摘され、世界的に研究が進められてきました。2012年、WHO/UNEP は、こうした化学物質の作用によって人や野生生物に悪影響が及ぶおそれがあることを認めるとともに、特に初期発達への影響は不可逆的で、ライフサイクルの後期まで明らかにならない可能性があることに重大な懸念を呈しました。これを受けて、EU では、2018年、予防原則に基づき、環境ホルモン作用を有する農薬類の使用禁止に着手し、現在は消費者製品への規制導入に取り組んでいます。
 一方、日本では、1998年に「環境ホルモン研究計画」を策定したものの、産業界の圧力に押され、まもなく研究計画を縮小し、環境ホルモンリストも廃止してしまいました。それ以来、「環境ホルモンは終わった」とされ、マスコミで報道されることもほとんどなくなり、規制の導入については検討すらされていません。そして、その間にも、発達障害児は増え続け、少子化傾向に歯止めがかかっていない状況です。
 「このままでは、子どもたちに取り返しのつかない事態となりかねない」と、2021年に『環境安全基本法』の制定を求める署名運動を共に担った団体が中心となって、国内外のこの分野の研究や対策に学びつつ、予防原則に基づく有効な政策の実現を日本政府に働きかけるための組織として、「子どもケミネット」の結成に至ったものです。

結成時の呼びかけ文